• 竹村太佑

Slack / 進化するビジネスコミュニティ


日本にfacebookが登場して10年、コミュニケーションツールとしてイノベーションを起こしたfacebookは、新興のInstagram(2012年)やWhatsApp(2014年)を買収し、さらなる発展が期待されたが、今や「facebook疲れ」や「facebook離れ」も云われ、若者のほとんどはここにいない。

実世界で見ず知らずのヒトといきなり友達になることは無い。まして、登録情報が何処まで信用できるのかも疑問。故に、「facebookとはペンパルのネット版」と云えば高齢者には分かり易いか。


ビジネスコミュニケーションツールにおける世界的トレンド「Slack」。社内外を問わずチームを形成でき、PCやスマホなど端末も選ばない。迅速な情報共有を必要とする昨今、瞬く間に利用者が増加。サービス開始5年での利用者は1000万人超。


「Slack」を提供するSlack Technologiesは、今年(6月20日)ニューヨーク証券取引所に上場。株式時価総額は約195億ドル(約2兆1000億円)。しかし売上高(2019年1月期)は約4億ドル(約430億円)、最終損失は約1億4000万ドル(約150億円)。赤字ベンチャーでありながらの上場はこの事業(サービス)価値であり、2016年にマイクロソフトから80億ドル、翌年アマゾンは90億ドルで買収オファーがあった。

これらを蹴って独立企業の道を歩むのは、CEOのスチュワート・バターフィールドがかつて共同創業した写真共有サービス「Flickr」の凋落にある。「Flickr」はYahooに買収された後、独自性が失われてイノベーションを生み出すことが出来なくなった。


「映画『アイアンマン』の主人公がパワードスーツを着るように、ナレッジワーカーは生産性を上げるツールで武装して、組織のパフォーマンスを高めることが求められる。そのニーズに応えるのがスラックだ」(バターフィールド)と、変化し続けるマーケットや消費者ニーズに企業も俊敏に変革し続ける必要がある。 アナログ社会でも手紙よりFAX・電話であったように、ネット社会においては電子メールよりもファイル共有・チャットであると云える。

チームでファイルやメッセージを見ながら、音声・ビデオ通話ができ、これら基本機能は「無料」で利用できる。(サービス保証や24時間サポート、機能追加が有償サービス)

そして他社の同様なツールと異なるのは、様々なネット上のサービスと連携。つまりSlackをコミュニケーションインフラとした、総合的なサービスが構成され、発展し続けていること。例えばWunderlistの更新をチーム(ワークスペース)に自動投稿、同様にメールからも投稿可能。これが「Flickr」を教訓とした独自性を貫く理由なのでしょう。


ICTの本家本元IBM、新興Lyft、trivagoから、日本のメルカリ、近畿大学まで、幅広い業種、組織で採用が拡大。

これに対してMicrosoftは「Microsoft Teams」を提供するが、これは「Office 365」の上で提供されるサービス(有料アカウントが必要)であり、さらに云えばAD(Active Directory)含めた階層構造に社外のヒトを簡単に登録することができない。

実際のところ、MicrosoftはSlackライクなKaizalaを新たにTeams(現時点では365上のみ)に統合する計画ではあるが、365とADの制約を受ける以上、利用環境としてSlackのような迅速性・発展性に欠けることは目に見えている。


情報の記録・交換における基本要素は「言葉(文字・音声・映像)」であり、Slackは「情報検索」により記録・交換された情報を簡単に探し出せる。今後はAIを駆使した過去メッセージの抽出、要約を目指すなど、絶えず進化させていく姿勢が企業評価に現れている。


 「10年後にグーグルのようになるのか」の問いに、「扱う技術が違うから置き換わることはないだろう。だが、同規模の成功を収められるかという質問なら、答えは『イエス』だ」(バターフィールド)と強気の企業でもある。

竹村太佑(経営・情報戦略アドバイザー)

http://prof.kobe-city.jp/



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